#19 面白い話
今日、明け方4時半ごろ。僕はおもむろに家を出た。
とても喉が渇いていたからだ。
そして近くの自販機に向かった。
でも欲しいものがなかった。
それならいっそのこと、コンビニでアイスコーヒーでも買って、このまま起きちゃおうかなんて考えた。
僕は寝ぼけまなこを擦りながら、近くのコンビニへ向かった。
そして店内をぐるっと一周し、レジに向かった。
特に欲しいものもなかったので、アイスカフェオレだけ頼むことにした。
「アイスカフェオレひとつ」
店員さんにそういうと、
「すいません。今清掃中で使えないんです」と返事が。
そうか、まだ朝の5時も回ってなかった。
モーニングコーヒーには早すぎたようだ。
でも僕はレジに他の商品を持ってきていなかったので、とっさにこう答えてしまった。
「すいません、このコーヒーマシンの清掃ってあと何分くらいで終わりますか?」
ばかなことを言ったと思った。別にそこまでしてコンビニのコーヒーが飲みたかったわけじゃないのに。
無論、寝ぼけていない通常運転の僕なら、使えないとわかったらすぐに立ち去る。絶対に。
でもその時は反射的にあと何分で使えるのか、なんてアホみたいなことを聞いてしまった。
すると店員はこう答えた。
「あと8分位ですね」
8分か。思ったより短いな。僕はそう思った。
そしてこれまた反射的に、こう答えた。
「そしたら10分後くらいにまた来ます」と。
言ってから、そんな発言をした自分に対する驚きで、これまでの眠気が全て吹き飛んだ。
どんだけアイスコーヒーが飲みたいねん。
そう思われたかもしれない。
でもそんなことより、僕は店員さんと交わした約束を守るかどうかに悩んでいた。
その店員さんは、僕がそのコンビニに行くときに大体出勤している。
だから、もし10分後にコーヒーを買いに戻らなかったら、今後その店員さんは僕のことを「約束を守らない人」として認識するだろう。
それだけは嫌だった。
別にリアルの関係性があるわけでも、名前を知っているわけでもないけれど、何かが嫌だった。
自分で言ったことには責任を持ちたかった。
そうして僕はもうひとつ別のコンビニでアイスと炭酸の飲み物を買い、一度家に帰った。
そして、この物語を、ここまでblogとして残した後で、コーヒーを買いに再び家を出たのであった。
追記
無事にコーヒーを買って家に帰ってきた。
さっきの店員さんがまだ出勤していて、しっかりと約束を果たせた。
そして嬉しいことがひとつ。
店員さんが僕にポテトチップスをくれた。
直ぐにアイスコーヒーを提供できなかったお詫びとしてらしい。
そんなお詫びなんて要らないよ、と思ったけれど
これまで生きてきて、人からの御好意はしっかりと
受け取ることが大切だと気がついたから
今回ばかりは素直にありがとうございます。と受け取った。
既に袋に入れられたものがレジの後ろの方から出てきたから、前もって準備していたんだろう。
なんか、(約束を果たすため、改めて)行って良かったし、(清掃が何分で終わるのか)言って良かったなあと思った。
自粛期間最終日の朝、
なんだか心温まる出来事になった。
ちなみにこれが頂いたポテチです。
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