#172 比喩が好き
大学時代、「レトリック」に関する授業を受けたことがある。
その当時は、たかだ比喩を小難しく解説してるだけだと思っていた。
けれど、最近になって比喩の魅力に気がつきはじめた。
例えば、「明け方の若者たち」の冒頭、こんな一節がある。
「言葉よりも先に、匂いが届いた。」
これ、本当にその通りで、好きな人の匂いって、本当にいいにおいなんだ。
どうにかなってしまいそうなほどに、素敵な香りがある。
生理的にという話があるが、体臭はその最たる例だろう。
この文章は、この香りの偉大さを端的に表現している。
あぁ、自分でもこんなことをかいていて気持ち悪いけど、
彼女の体臭は本当にいいにおいだったなぁ。
離ればなれになるからと、お互いに洋服を貸し借りして、
これでいつでもそばにいるようだねって、
においってそれくらい重要な要素だ。